シリーズ|Space Whispererノート
空間が語りかけてくる時がある。
見えないのに、たしかにそこに“何か”があると感じる瞬間。
私はそのささやきを「Space Whisperer(空間のささやき手/空間師)」と名づけました。
このシリーズでは、
今ここを震わせる空間をつくるプロセスや、
その中で生まれた気づきや変化を綴っていきます。
今回の記録は、
わたし自身の「怖さ」と向き合いながら、
“いい人”をやめて、自分の自由と境界線を選び取ったプロセス。
震えながらも、それでも選んだ「自分を守る」という道について綴りました。
整えるということが、
どれほど深く、優しく、人生を支えてくれるのか。
写真の美しさではなく、言葉の静けさで届けるシリーズです。(これも空間の一部)
どうか、あなたの“今ここ”が、少しでも心地よくなりますように。
震えながらも、自分のために動いた日
いつもの私なら、「まぁいっか」で済ませていたかもしれない。
でも今回は違った。
震える手を抑えながら、Child Support(チャイルドサポート:養育費の支払いを管理・サポートするオーストラリア政府の機関)に電話をかけた。
言葉を選びながらも、自分のためにこう伝えた。
「エージェントが(養育費を)回収する形にしてください。」
私たちはこれまで「プライベートコレクション(個人間でのやりとり)」でチャイルドサポートをやってきた。
でもその方法では、毎月元旦那の都合に振り回されていた。
「今月はこれだけしか払えない」
「予定外の出費があって…」
そんな一方的な言い分に、私はいつも折れてきた。
そして、事態はさらにエスカレートした。
金額が正式に上がった途端、元旦那はこう言った。
「チャイルドサポートには内緒で、今までの金額でやっていきたい。」
私がそれを断ると、今度はこう来た。
「Makiのせいで自分の家を売らなきゃいけなくなる。それでもいいのか!」
……それはもう、「話し合い」じゃなかった。脅しだった。
だから私は、これ以上このやり取りに振り回されないために、チャイルドサポートのエージェントに間に入ってもらうことを選んだ。
その電話をしたとき、予想通り彼から再び連絡がきた。
「エージェントコレクションにしないでくれ。ちゃんと払うから。」
またか、と思った。
そして案の定、今月も
「自分のケアの時間が増えた」と一方的な理由で、少ない金額を送ってきた。
私は今月からエージェントが対応すると思っていたので、その話をすると…
「ちゃんと払えばプライベートのままだってエージェントが言ってたじゃないか。話が違う。エージェントにするな。もししたら……」
そうして、また脅しが始まった。
だから私は伝えた。
「これが理由で、間に誰か入って欲しいんです。」
そう言って、再びチャイルドサポートに電話し、状況を確認した。
すると、今月と先月の金額が通常より少ないこと、そして来月からは正式にエージェントが回収する体制になることがわかった。
そのとき担当の方にこう聞かれた。
「今月と先月の差額も回収しますか?」
…いつもの私なら、
「いえ、大丈夫です。来月からでいいです。」って即答していたと思う。
**「悪いかもしれない」**って、自分を引っ込めていたから。
でも、今回は違った。
あの時私は自分に問うた。
「自分の権利を、自分が守らなくて誰が守るの?」
怖かった。
全身が震えたし、電話越しに泣きそうにもなった。
だって、これをしたらまた怒ってくるだろうし、
「まきが悪い」と言われるのが目に見えてたから。
でもそれでも、私は選んだ。
「回収してください」と。
これは、私が自分を守るために選んだ“はじめての自己主張”だった。
怖さがあっても、
それでも、自分のために選んだ“声をあげる”ということ。
この小さな選択が、
これまで止まっていた何かを、
また少しずつ流れ始めさせてくれている気がしています。
次回は、「前の私だったら…」という過去の自分との違いと、
なぜ私は“いい人”をやめる選択をしたのかについて綴ります。
